あなたの老化はどこから?
肌のシミやしわ、体力低下、増えてきた白髪、そして病
「人は血管とともに老いる」といわれるが、あらゆる老化を引き起こすのが血管の老いであり、逆に血管の老化を防ぐことができれば、元気で若々しく長生きすることができるのだ。
若い頃にはやわらかく、しなやかだった血管も、誰しも加齢とともに老化する。実は10才前後から硬化は始まり、血管の老化とともに体全体の老化も加速度的に進んでいってしまう。
「血管の老化はすでに20代で生じており、加齢や生活習慣病などのリスクの積み重ねにより40〜50代あたりから加速します。
また、閉経に伴う女性ホルモンの減少も、動脈硬化に拍車をかけます。動脈の末端につながる毛細血管の“ゴースト化”が進み、60代になると20代の頃と比較して、40%の毛細血管が失われるといわれています。
体全体に酸素と栄養を届ける機能が失われ、シミやしわ、くすみの増加や白髪に薄毛といった外見の老化も進みます。加えて頭痛やめまい、動悸や手足の冷えなどの症状が起こります。
ひどくなれば脳卒中や心筋梗塞など命の危険がある病気の発症リスクも高くなります」
「加齢や生活習慣のダメージで血管の弾力性が失われ、硬くなってしまった状態を『動脈硬化』といいます。これが進むと『カチカチ血管』になり、血流の圧力に耐えきれず、血管が破れて出血してしまう。
脳で破れると脳出血、心臓から全身へ血液を送る太い血管が破れると大動脈解離と、破裂の箇所や規模によっては脳の障害や手足のまひなどの後遺症や、命の危険もあります」
血管だけでなく、血液の老化による質の低下も重要なファクターとなる。
「糖分や塩分、脂質の多い食事、飲酒、喫煙、運動不足などで血中の中性脂肪や悪玉コレステロールが増えると『ギトギト血液』になります。
その脂肪や悪玉コレステロールが蓄積してできたコブ(プラーク)で血管が狭くなり詰まりやすくなる。そのプラークが?がれて血管が詰まると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのです」
動脈硬化が進み、プラークが増えることで、最終形態である「ボロボロ血管」へと変貌する。 「動脈硬化で血管が破れやすくなったうえ、プラークによる炎症で傷んだ状態が『ボロボロ血管』です。
血管が破れたり、詰まったりする可能性がさらに高まった状態です。ここに強い圧力の血流である『高血圧』が加わると、重篤な疾患につながる可能性が高く、『早死にする血管』へまっしぐらの状態といえます」
動脈硬化、ギトギト血液から生まれるプラーク、そして高血圧といった複合的な要素により「早死に血管」がつくられる。
すなわち、「長生き血管」を目指すうえでもっとも大切なのは、動脈硬化を遅らせることだと名医たちは口を揃える。そのためにまず気をつけたいのは食生活の改善だ。減塩と脂質をコントロールするのが重要である。
「なるべく青魚を食べて、血液中の炎症を抑えて血管を守ってくれるEPA、DHAなどのオメガ3系脂肪酸を摂取しましょう。
肉を食べる場合も、脂身の少ない種類を選ぶべきです。牛肉や豚肉の脂身は血中の中性脂肪と悪玉コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を進行させてしまう。
肥満になると睡眠時無呼吸症候群にもつながり、血圧上昇でさらなる動脈硬化の加速が危惧されます」
食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」は血管に大きなダメージを与えるが、野菜を摂取することで急上昇を抑えることができる。1日に350g以上が推奨されているが、選ぶ種類も工夫したい。
「ごぼうや枝豆など食物繊維の多い野菜を食べることで、糖やコレステロールの吸収を抑えられます。さらにブロッコリー、トマト、なすなどは抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれるため、血液や血管の酸化を抑えて動脈硬化を予防するうえでとても有用です」
高血圧も動脈硬化の大きな一因だ。近年、日本高血圧学会では、尿中のナトリウム量をカリウムの量で割った比率「ナトカリ比」をコントロールすることで、高血圧を防ぐ方法が推奨されているという。塩分摂取量が多ければナトカリ比が高くなる。
「カリウムは体にたまった塩分を体の外に排出して、血管を拡張して血圧を下げる働きがあります。 尿の中のナトカリ比は2〜4未満が推奨されており、塩分を摂りすぎた場合は、カリウムを多く含むみかんやりんご、バナナなどを食べることで高血圧予防になります」
食生活に加えて、運動習慣も身につけたら「長生きする血管」への距離はぐっと近くなる。米国心臓病学会誌によると、1日30分の早歩きが血管の柔軟性を高めるというデータがある。
「安静時と比べて心拍数が20〜30程度上がるくらい、目安としては息が弾む程度の速度で30分歩きましょう。理想としては週に5回、トータルで150分ですが、1日だけでも翌日の採血で血管の柔軟性が優位に高まっていたというデータもあるので、おすすめだといえます」
散歩はタイミングも重要だ。朝に行う人も多いが、早朝に活動し始めることで、かえって体調が悪化してしまうケースもある。
「脳梗塞や心筋梗塞は午前中に起こるケースが多いです。薬が切れやすいタイミングであることに加えて、起床時に副交感神経から交感神経に切り替わり、そこで交感神経が異常に活発化すると不整脈が起きやすくなるという仕組みです。
早朝の散歩は危険なので、せめて朝食後にしましょう」