大量の汗をかいたとき、腎臓では何が起きているのか!

2026年08月17日 16:38

腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として捨てる臓器です。

心臓が送り出す血液のおよそ2割が腎臓に流れ込んでおり、腎臓は「血流で働く臓器」といえます。

大量に汗をかいて脱水になると、体を巡る血液の量そのものが減ります。すると腎臓に届く血液も減り、ろ過の働きが一時的に落ちてしまいます。

浄水場にたとえるなら、水道の元栓が細く絞られて、処理能力が落ちた状態です。
これを「腎前性の急性腎障害」と呼びます。

さらに重症の熱中症では、筋肉の細胞が壊れる「横紋筋融解症」を合併することがあります。

壊れた筋肉の成分が腎臓の細い管に詰まり、腎機能が大きく損なわれることがあるのです。

熱中症で救急搬送された方の検査で、腎機能の数値が悪化しているケースは、実際の診療でも決して珍しくありません、

腎臓のダメージは、痛みではなく尿の変化として表れます。チェックしていただきたいのは3つ、「色」「回数」「量」です。

まず色です。脱水が進むと、腎臓は水分を節約しようと尿を濃縮するため、尿の色が濃くなります。

薄い麦茶のような色なら問題ありませんが、ウーロン茶のような濃さになっていたら、体の水分がかなり足りていないサインです。

コーラのような黒っぽい色の尿は、横紋筋融解症の可能性もある危険なサインで、すぐに受診が必要です。

次に回数と量です。日中トイレに行く回数が普段より明らかに減っている、行っても少ししか出ない、という状態は、腎臓が「捨てる水分がない」と悲鳴を上げている状態です。

半日以上尿が出ないときは、様子を見ずに医療機関を受診してください。

 なお、夏は尿路結石の発作が最も増える季節でもあります。尿が濃縮されると結石の成分が結晶を作りやすくなるためで、夏場は発作がほかの季節の約2倍になるという報告もあります。

脱水対策は、腎臓を守ると同時に、あの激痛の予防にもなるのです。

基本は、のどが渇く前の水分補給です。
特に、起床直後、入浴の前後、就寝前は脱水が進みやすいタイミングです。コップ1杯ずつでかまいませんので、意識して水分をとってください。

ビールなどのアルコールは、一時的に尿が増えたあと、かえって脱水を進めてしまうため、水分補給の代わりにはなりません。

 一方で、注意していただきたい点が2つあります。
1つは、心不全や腎臓病などで主治医から水分制限を受けている方です。自己判断で水分を増やすと病状を悪化させるおそれがあるため、夏の水分のとり方は必ず主治医と相談して決めてください。

もう1つは経口補水液です。脱水時には有効ですが、塩分が多いため、健康な方が日常の水分補給として常飲するものではないことも知っておいていただきたいと思います。

難しいことは必要ありません。今日から、トイレに行くたびに尿の色を確認する習慣をつけてください。

薄い麦茶色を保てていれば、水分補給はおおむね足りています。

ウーロン茶色が続く、回数が明らかに減った、倦怠感や吐き気を伴う

そんなときは、腎臓が助けを求めているサインです。お盆明けの厳しい暑さを前に、ご自身とご家族の「尿」を、ぜひ気にかけてみてください。

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