高血圧は日本人に非常に多い病気です。
しかし、「少し高いだけだから大丈夫」「症状がないから問題ない」と考えている人も少なくありません。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま血管に負担をかけ続け、脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病などの重大な病気につながる可能性があります。
健診で指摘されても受診せず、そのまま放置している人も多いのが現状です。
高血圧はサイレントキラー
放置するとどんな悪影響が出るのか?
高血圧とは、血管の壁に慢性的に過剰な圧力がかかり続けている状態を指します。
診察室での収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
最もリスクが低い「正常血圧」は120/80mmHg未満と定義されており、この数値を超えると段階的に血管への負担が増していきます。
血圧が基準を超えて高くなるほど、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病といった命に関わる心血管病の発症リスクが直線的に上昇するとされています。
自覚症状がないまま全身の血管をむしばみ、最終的に脳卒中や心筋梗塞といった、命に関わる合併症を突発的に引き起こします。
これが、高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる理由です。
日本高血圧学会のガイドラインでも、高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが高まることが示されています。 また、常に血管へ強い圧力がかかることで動脈硬化が進行するほか、腎臓にも深刻なダメージを与え、人工透析にいたる主要な原因にもなります。
症状がないからと放置せず、数値の段階で適切にコントロールすれば、心臓・脳・腎臓などに生じる致命的なダメージ(標的臓器障害)を防ぐことができます。
高血圧によって全身の動脈硬化が進行すると、脳・心臓・腎臓など生命維持に関わる重要な臓器に深刻なダメージを与えることになり、代表的な疾患としては脳卒中や心筋梗塞につながります。
加えて大動脈の壁が裂ける「大動脈解離」、大動脈にできたこぶが破裂する「大動脈瘤破裂」、足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」など、全身の重篤な血管病を誘発します。
さらに近年の研究では、微小な脳梗塞の多発や脳血流の低下により、認知症の発症リスクが高まるとも報告されています。
これらの病気は命に関わるだけでなく、重い後遺症によって生活の質(QOL)を著しく低下させるリスクがあります。
だからこそ、日頃からの早期かつ適切な血圧管理が不可欠なのです。
高血圧の影響は脳や心臓にとどまらず、全身の血管網を通じて「腎臓」や「目(網膜)」など、多くの臓器に深刻な障害を及ぼします。
とくに腎臓は微細な血管の集合体であるため、血圧の影響を強く受けます。
高血圧による動脈硬化が進むと、腎臓のフィルター機能が破壊され、結果として慢性腎臓病から人工透析へといたるリスクが著しく高まります。
また、目の奥にある網膜の血管がダメージを受けると、「高血圧性網膜症」を引き起こす恐れがあります。
進行すれば眼底出血や視力低下、最悪の場合は失明にいたる危険性も伴います。
実際に、高血圧の人は正常な人に比べて、先述した腎不全や網膜症の発症率が高いことがデータでもわかっています。
症状のないまま全身の臓器がむしばまれていくため、目や腎臓を守るという観点からも厳格な血圧管理が必要です。