◆新常識 高齢者はやせてはいけない
標準体重より太めのほうが長生き 若い人の低栄養は命に直結しますが、高齢者が食べなくなって栄養不足になるのも、当然のことながら命を縮めます。
そして高齢になるほど、その危険度は増していきます。高齢者がやせるのは決してよいことではないのです。
一般に高齢者は、食が細くなって、自然にやせていくものだとされています。
その論法でいくと、栄養不足で体力や筋力が低下し、足腰も弱くなりますね。 足腰が弱ると転倒のリスクが高くなります。転倒して骨折すると、そのまま寝たきりになってしまうことも珍しくありません。
また、食べものを咀嚼して飲み込む力(嚥下力)も弱くなり、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因のトップ5以内を占めています。 そのきっかけが、やせていくことです。
年をとっても元気で暮らしたいのなら、しっかり食べなければなりません。 高齢者にとって、ダイエットなど、もってのほか。そもそも、少し太めのほうが長生きできるのです。
BMI(体格指数)という値があります。「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で求められます。自分で計算することもできますが、BMIを自動計算してくれるウェブサイトもあるので便利です。
BMI22が標準体重とされています。BMIが25〜30は肥満度1とされ、医師からダイエットを求められたりします。
しかし元気で長生きしたいなら、BMIは25〜30くらいを目指すべきです。このくらいの数値の人のほうが長生きであることは、数々の研究で明らかにされています。
近年、高齢者のBMIは高めのほうがよいと、指針が修正されるようになりましたが、一般の方にはほとんど知られていません。
それどころか、医者でさえ知らない人がいるようなのです。 逆にBMI18.5未満の低体重になると、死亡率が大幅にアップすることもわかっています。
油をとらないと免疫力が低下する
栄養のとりすぎはよくないという人がいますが、現在の日本人で、とりすぎている栄養素は、ほぼありません。
脂肪のとりすぎを心配して、油を控える人がいますが、脂肪はもっととったほうがよいのです。
脂っこいものを食べすぎると、血液中の中性脂肪の値が上がります。確かに、中性脂肪が高すぎると、急性膵炎のリスクが高くなったり、脂肪肝が進みやすくなるなど、健康によくないことが起こることもあります。
しかし逆に、中性脂肪が少ない人は、元気がなく、疲れやすくなります。エネルギーが不足するため、体温の調節がうまくできなくなり、暑さや寒さにも弱くなります。
また、中性脂肪の少ない人は、免疫力も低下します。つまり、がんや感染症にかかりやすくなるのです。
中性脂肪は、血液の中に溶け込んで全身をめぐり、活動するためのエネルギーになります。
つまり、中性脂肪が十分にある人は、それだけエネルギーを使うことができるのです。
中性脂肪は元気の源のひとつです。 中性脂肪の基準値は30〜49mg/dl(空腹時)、150mg/dl以上だと、脂質異常症と診断されます。
もちろん、中性脂肪が大量にありすぎるのは問題ですが、不足するのはもっとよくありません。とくに高齢になるほど、中性脂肪が不足する弊害は大きくなるので、油も適度にとったほうがよいのです。
たんぱく質をとって運動すれば筋力アップ 高齢者にとって、もっとも重要な栄養素は、たんぱく質です。
たんぱく質は筋肉や臓器、骨格・皮膚などの材料となる栄養素。
体を構成しているたんぱく質は、少しずつ分解されていくので、たんぱく質は毎日とらなければなりません。
たんぱく質が不足すると、肌のツヤが悪くなったり、顔がシワまみれになる人もいます。
肌の老化が気になる人は、たんぱく質が不足しているからかもしれません。
骨折の原因は骨が弱くなっているからだといわれていますが、実は筋肉が少なくなっていることが原因のこともあります。
骨折する人は、骨のまわりの筋肉が十分についていないことが多いのです。筋肉がついていれば、転んでも筋肉が骨のダメージをやわらげるので骨折までには至りません。
もちろん、骨粗しょう症が原因のこともあるので、カルシウムをとることも大事ですが、それとともに、たんぱく質をとることを意識したほうがよいのです。
十分なたんぱく質をとっていないと、筋力が低下して、寝たきりになるリスクが高くなるということを知っておいてください。
そして筋力をアップさせるには、筋肉の材料であるたんぱく質をしっかりとって、運動をするだけでよいのです(男性の場合は、男性ホルモンも必要ですが)。
運動といっても、歩くだけで十分です。おすすめなのは、ショッピングモールを歩くことです。
屋根があり冷暖房も完備されているショッピングモールなら、雨の日も猛暑の夏も快適に歩くことができます。交通事故の心配もありません。
最近、やせてきていると思っている人は、たんぱく質をとくに意識して、食事の量を増やすように心がけましょう。