「腸活」という言葉がすっかり定着し、ビフィズス菌や乳酸菌入りのヨーグルトを毎日欠かさず食べている人は多い。
善玉菌を増やして腸内環境を整え、がんや生活習慣病を予防する――そうした健康法は、今や広く信じられた「常識」だ。
「残念ながら、プロバイオティクス食品で腸内環境を変えるのは難しいと言われています」
理由は数の問題だ。
人の体内には平均して25兆個の善玉菌がいる。
一方、1食分のヨーグルトに含まれる善玉菌の数は、その体内の菌と比べると桁が4つほど違い0.08%にも満たない量だという。
では、腸内環境を改善するには何をすべきか。
「食物繊維をしっかり摂れば、すでに体内にいる25兆個もの善玉菌が元気になり、さらに増える効果が期待できるという。」
食物繊維は善玉菌の餌になる。
食の欧米化によって穀物の摂取が減り、食物繊維が不足すると、体内の善玉菌が弱り、相対的に悪玉菌が力を持つ。
悪玉菌は脂質の消化を助ける「胆汁」を分解して、大腸がんの発生に関わる物質を生み出す可能性があるという。
ここに「脂質摂取の増加」「食物繊維の減少」
「運動不足」という食の欧米化の三要素が絡み合い、大腸がんの増加につながっていくとのことだ。
大腸がんと内臓脂肪の関係も見逃せない。
日本人は欧米人と比べて内臓脂肪がつきやすい体質を持つ。
欧米人は皮(皮下脂肪)が厚く具(内臓脂肪)が少ない。日本人をはじめとする東アジア人は、逆に具が多い。
「皮下脂肪は悪い物質をほとんど作らないため、どれだけ蓄積しても、それが原因でがんや生活習慣病になることはありません」
つまり、体格が大きく見えても皮下脂肪中心の欧米人と、すらっとしていてもお腹だけ出ている内臓脂肪型の日本人とでは、健康リスクが全く異なる。
内臓脂肪を落とすには有酸素運動が最も直接的に効果的で、「1日合計20分から30分の運動を、週5日ほど」を2か月続ければ必ず実感が得られる。
ヨーグルトを嗜好品として楽しみつつも、食物繊維と有酸素運動を軸に据えた生活習慣へ。
がん予防の処方箋は、派手さこそないが、日本人の体質に根ざした地に足のついたものだ。
胃がん・膵臓がんとピロリ菌、アルコール、喫煙との関係など、さらに踏み込んだ議論が必要だ。
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